特定非営利活動法人高専プロコン交流育成協会
理事長 桑 原 裕 史
第6代の理事長を拝命いたしました桑原裕史です。精力的に勤められた歴代の理事長に倣い、精一杯務めさせていただきたいと存じます。 平成2年に生まれました高専プロコンも令和6年の奈良大会で35回を迎えます。プロコンの創立当初から関わってまいりましたメンバーの一人として、社会に認められ定着したプロコンの応援ができることを大変誇りに思います。これもコンテストを支えていただいた協賛企業、後援団体の皆様、実行を担っていただいた高専教職員の皆様のご努力と熱意によるものだと改めて感謝を申しあげます。
さて昨今、通信速度の向上、クラウドやAI技術の発展により、情報処理技術には急激な変化が訪れています。専門の知識やプログラミングの経験が無くてもシステムの開発が可能だといわれるAIによる自動的なコードの生成や、ノーコード・ローコードと呼ばれる開発手法等新しい手法は枚挙に遑(いとま)がありません。しかし、このような時代であればこそ、しっかりとした工学の基礎知識を身に着け、実験実習や卒業研究等によって実践的な技術も身に着けた高専の卒業生こそ思う存分に活躍できるのではないかと思います。 今、高専設立から60年を経て、世の中では再度高専教育に日が当たってきています。私立の高専の新設があり、県立高専の開校も予定されています。海外の高専の卒業生も活躍し始めています。これは数十年の月日を費やし、誠実にかつ真摯に工学教育に取り組んだ高専の成果でもあろうと推察いたします。高専に学ぶ学生諸君は決して現状に甘えることなく自らの専門知識の習得に専心し、身に着けた技術を社会に還元していただきたいと思います。当協会は全力で皆さんを応援いたします。
最後になりましたが、高専から優れた人材を世の中に送り続けるために、NAPROCKの理事一同は努力いたします。協賛企業の皆様を始め、全ての関係者の皆様に、一層のご支援とご協力を賜りますようお願いして、理事長就任の挨拶とさせていただきます。
令和5年吉日 桑原 裕史
ここで第3代のNAPROCK理事長であった松沢照男先生(故人)の文章をお借りして、高専プロコンの歴史についても、記録のために記述しておきたいと思います。
「私は1985年当時沼津高専に奉職し、当時立ち上がったばかりの情報処理教育を担当し、その縁で前堀内理事長はじめ現在の本協会の主立ったメンバーと親交を結ぶきっかけになりました。 高専においても情報処理教育のあり方が熱心に議論された時代ですが1977年に登場したパソコンがようやく普及し、特別な人にしか扱えなかったコンピュータが高専の学生のみならず誰でもが手にできるようになったときでした。当時の議論はコンピュータの機種や性能を中心とした情報システム環境を中心としたもので、コンピュータに興味をもった学生達になにを与えるべきかという視点は二義的な話でした。 その頃、堀内先生を中心に情報処理教育を担当した教員仲間で、なにか学生の興味やモチベーションを刺激する方策はないかという議論から高専プロコンを企画し、清水先生やコンピュータソフトウェア協会のご協賛を得て1990年に京都で第1回を開催し、本年まで連綿と大会開催を継続して参りました。」
松沢照男
以上